短編小説(Short Story)
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「君はまだ僕の日常を
壊さないでくれる」
014 No.078 徳田秋声『常盤なる雪』
秋声さん、どうか私を守ってください。 その呼び方に徳田は思わず眉をひそめます。こちらをからかいに来たのだろうと、嫌でも察してしまうのです。名前の後ろに「さん」と付けて、頼らなくても良い...
(著書の引用あり)
第一話 /
第二話 /
第三話
「どうか、
私と一緒に寝てください」
013 No.014 川端康成『母の鼓動を知らぬ子ども』
「人肌の先には、母の温もりがありましょう。貴方と一緒に寝たら覚えられると思うのです。母の面影を求めて女を抱く、そんな感情を」 だから一緒に寝てくださいと、川端は改めて司書に向かって頭を下げました。...
(PG-12)
第一話 /
第二話
「一緒に捜して
くれてありがとう」
012・No.018 広津和郎『さがし物』
「貴方は、優しい人だ。誰が見たって分かるなのに……」 何とも歯切れの悪い言葉でした。司書が広津の顔を覗くと、彼は今にも泣きそうな顔をしていました。一旦休憩をしようと、司書は目に入った中庭の長椅子に座らせます。...
第一話 /
第二話
「構ってくる方が
淋しいんだろう」
011・No.060 尾崎放哉『ひとりになれない孤独な世界』
何か良からぬ嵐の闇を見つめる彼の眼がぱっと灯ります。自然の恐怖に対する生命の鼓動でしょうか。いいえ、その嵐で自分以外の生命が綺麗さっぱりに消え去ってほしい望みです。尾崎はこれ以上の人との...
(著書の引用あり)
第一話 /
第二話
「お前の思い出が
全部俺だけになったら、」
010・No.073 檀一雄『思い出に抱擁される性命』
気持ちよく朝を迎えられる条件は、これから世界が始まるのだと告げるために森閑と静まっているところで、太陽が顔を出し、日に温められた空気が風となって始まりの音を震わせます。草花の生命開く小さな音から始め、...
第一話 /
第二話
「ありがとう、
貴方のおかげだ」
009・No.013 森鴎外『一緒に生きたいからお礼を言う』
「ありがとう。貴方が紹介してくれたお菓子を彼に渡したら、大層喜んで食べてくれた」 森はバレンタインの日にある文豪から日ごろの感謝を込めたお菓子を貰いました。ホワイトデーにお返しの品を考えましたが、...
第一話 /
第二話
「俺だって
顔を赤らめる」
008・No.013 森鴎外『温い波』
紅葉が真っ赤な夕陽に溶け込み、晩秋の寒さを煌めく陽光で彩る時分に、森は図書館の中庭にいました。補修室には中庭に通ずる大きな窓があり、彼はそこで普段の仕事の疲れを庭に咲く草木や花々を見て...
(著書の引用あり)
第一話 /
第二話
「のんきなものだね」
007・No.015 北原白秋『象の子』
司書は夢の中で象の子になりました。おやおやと驚いて、大きな耳をぱたぱたと翼のように広げますと、涼しい風が灰色の肌に当たって気持ちが良いです。もっと耳をぱたぱたと羽ばたかせると、...
(著書の引用あり)
第一話 /
第二話
「見つかったか」
006・No.078 徳田秋声『すべての始まり』
あれはちょうど五年前だったでしょうか。徳田が初めて司書と出会ってから少し日が経った時分に、ちょっとした会話から司書にこう言われました。私が今まで文学に触れて読んできたのは、徳田秋声...
(著書の引用あり)
第一話 /
第二話
短編集(Omnibus Story)
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鏡を貰う夢を題材にした短編集。
登場人物:森 / 芥川 / 種田
「ハロウィーン・ナイトパーティー!」を題材にした短編集。
登場人物:北村 / 徳田 / ポー / 高浜
中編小説(Novella)
● 当サイトの中編は4話以下の続き物です。全作品に著書や参考書等の引用があります。
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「貴方の頭の中を
覗いてきた」
005・No.013 森鴎外『鹿の石』
外気よりも多分に冷たい空気を閉じ込めた地下閉架書庫の奥には、休憩室があります。どうやら、この図書館に転生した文豪たちしかその休憩室を利用していないようです。図書館の職員も部屋の中の用意や片付けの為に...
第一話 /
第二話 /
第三話 /
第四話
「匂いを、叫び声の
ように立てればいい」
004・No.083 ボードレール『嗅覚にこびりつく面影』
「君は今から僕の古臭くなった芳しい香水壜になるんだ。そう! 埃をかぶった花薫る香水壜に……」
彼から言われる前に、司書の口元にはボードレールの毛先が当てられていました。きつく緩く編まれた三つ編みの先には、...
第一話 /
第二話 /
第三話 /
第四話
「Oh,'tis love,
'tis love,」
003・中編集『不思議の国に遊びにおいで』
「キャロル・イン・ワンダーランド」を題材にした中編集。
登場人物:芥川 / コナン・ドイル / 有島 / キャロル
ノヴェラ・ワンダーランド
「正直に伝えていけば
絶対に見出せられる」
002・No.013 森鴎外『獅子の咆哮、百年経ても遠く響く』
森林の奥に獅子が堂々と闊歩していました。柔らかそうな耳は梢と葉が擦れあう音から何かを聞き取ったようです。その音に頷くように、今度は鋭い目付きで木々を睨みました。鳶よりもよく見える瞳は木の頂きから根本、...
第一話 /
第二話 /
第三話 /
第四話
「その額に口づけを
してやろう」
001・No.087 ポー『黒猫の爪先が弾く神経の音』
恐怖を好いても退屈を嫌うのは、何かに熱中していれば自分が孤独であることに気付かなくなるからでしょうか。 いつも持ち歩いている万年筆で潜書の報告書をしたら今日のお仕事はおしまいです。ですが、これはポーに...
第一話 /
第二話 /
第三話 /
第四話
長編小説(Long story)
● 当サイトの長編は5話以上の続き物です。全作品に著書や参考書等の引用があります。
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005・No.059 種田山頭火 / 今を生きる為の呼吸をしたい。('230419 完結済)
004・No.022 江戸川乱歩 / 変装した彼の恋人になりました。('221128 完結済)
003・No.087 ポー / 死んでも嫌と言うほど愛しましょう。('220724 完結済)
002・森鴎外 / もう一度人間に生まれ変わったのだから。('220528 完結済)
001・森鴎外 / あらたまを愛撫するように磨く。('220221 完結済)
過去作(Log page)
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○ 短編小説
作品番号 001~005
登場人物:森/新美/島崎/谷崎/太宰